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 - 2013.11.20 Wed

『64』 横山秀夫 著



横山秀夫さんの作品は著書『クライマーズ・ハイ』で衝撃を受けてから、ずっと読んでいる。

総じて短編が多いのだが、これは久しぶりの長編。それも読後どっと疲れが全身を襲い、同時に心地よいドーパミンが脳内を満たすほど、その渾身を込めた筆力に終始圧倒され続けた。

ジャンルでいえば作者得意の「警察小説」であるが、派手なアクションや劇的な逮捕劇はほとんどない。しかし印象は男気がプンプン匂うハードボイルド仕立て。警察と記者クラブ、警務部と刑事部、本庁と地方署、上司と部下、そして夫と妻、父と娘がすさまじい二極対立と融和を繰り返しながら、全ての登場人物が「64」という巨大な渦に飲み込まれながらエンディングへとなだれ込んでいく。

全編を通じてに主題となっているのが、主人公「三上」の立ち位置だ。

前職である刑事への返り咲きの夢、それと真っ向から敵対する「広報官」という職責の狭間で迷い、悶絶する。
これは大なり小なりどこの職場にもあることだ。勤め人である以上、いや、たとえ夫婦や親子でも、相対するのが「自分とはちがう」人間である以上常にそこに桎梏や嫉妬、意地の張り合い、プライドのぶつかりあいが生まれるのは避けられない。

重要なのはそんな激流の中でも足元をすくわれことなく、しっかりと自らの使命を自覚し大地に踏んばることができるかどうかだ(三上は自分が人々を救う「警察官」だという原点に還る。その大切さをこの小説はどのようなノウハウ本より雄弁に私たちに教えてくれる。

寝床で読んでいて、持つ手がだるくなるほど「重量」のある大作なのだが、海外ドラマ『24』みたいに凝縮された時間内での展開なので、一気に読み終えることも可能だ。かと言って斜め読みや1ページでも飛ばしたら、筋を見失ってしまうほど緻密な構成となっており、「張り込み」のように少しの油断もできないところが、この作品が紛れもない 一流のミステリーであることを物語っている。

人間の弱さに向ける温かいまなざし 徹底的に追いこんでいく自問形式の心理描写

現時点で横山文学の集大成といってもいい。


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